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この度,高井教授の研究案が平成20年度科学研究費補助金(基盤研究C)に採択されました。 研究期間は,平成20年より3ヶ年です。 このページでは,研究成果のアウトリーチ活動の一環として,採択研究案の概要紹介などを行います。
状況(Context)がコミュニケーションに及ぼす影響,文化差異がコミュニケーションに及ぼす影響などは,これまでにも多くのすぐれた研究が確認されます。本研究では,分析対象とする地域(文化)を拡大すると同時に,従来個別に検討されることが多かった要因の相互関係などを検討しながら,理論モデルを提唱していきます。 研究の中で特に重視される要因は,研究案名にもあるとおり,“状況”,“関係”,“自己認識”です。こららの基本的な要素に加えて,“文化”という大きな力の影響を検討します。
本研究では,日本・中国・アメリカ・カナダの各国で調査・実験を実施し,データを収集・解析することを通して,国際的な比較を行います。この分析を通して,洋の東西によって異なるコミュニケーションスタイルについて,実証的なデータに基づいた検討・考察を行います。ならびにより円滑な自己理解をもたらすコミュニケーション方略について,文化的な差異も視野に入れた問題点や改善策などの提言を行います。また,人々のより円滑なコミュニケーションの有り方について,明らかにします。
最も万人に想像されやすい状況として,立場の相違が考えられます。たとえば,学生と社会人とでは,そのコミュニケーション方略の選考に大きな差があることが考えられます。また,企業内における部長/主任といった立場の違いでも構いません。たとえば,学生と社会人であれば,両者が置かれた状況(科された期待や責任などの相違を含む)が,大きく影響していることは自明です。その相違から生じるコミュニケーション方略の差異があることは,誰しもが経験的に知っていることですが,具体的にどのような差異があるのか,どのようにコミュニケーション方略が選択されているのかについて,実証的に示した研究はまだ限られています。 コミュニケーション学における先行研究では,東洋文化圏の人々はより状況に依存したコミュニケーションスタイルを選考する傾向が研究者によって指摘されています。そこで本研究では,東洋人が重要視すると考えられる,コミュニケーションという営みにおける“状況”要因に注目した検討を行います。その際,一律に西洋文化圏からの知見や手法を追従するのではなく,それぞれの文化圏に適切であると考えられる手法を適用することを通して,真に状況依存性(contextualizm)を考慮したモデルを提唱し,モデルに基づく文化比較を実現しようとするものです。 |